アクセス数が多いため、随時情報の整理を行います。
追記はページの下部に随時追加する方法で行います。
☑雇用調整助成金の概要
☑助成金の申請のための必要書類や添付書類
☑平均賃金の計算方法
☑休業手当の計算方法
☑助成金の支給額は休業手当の額と連動しない、いわゆる逆転現象について
・この記事・動画は2020年4月23日時点のものです。
・記載内容・解説内容には注意を払っておりますが、個人ができることには限界があります。誤りがある場合でも、いかなる責任も負いません。
・記載内容の無断複製・転載を禁止します。
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、都道府県知事からの休業要請等に伴い、事業の休業を余儀なくされている状態です。労働基準法第26条では債権者の責に帰すべき事由により休業をさせた場合は休業一日につき平均賃金の60%を支払う義務があるとされています。
今回の緊急事態宣言を受けてした休業が不可抗力(=休業手当の対象外)にあたるか否かは置いておくとして、売上の低下の中、労働者への休業手当の支払いという事態は、事業の継続ひいては雇用の継続が困難となります。そのために出来上がったのが雇用調整助成金という制度です。
この記事・動画は、主として雇用調整助成金を活用し、事業の継続・雇用の継続を目的とする事業主さんをターゲットにしています。
必見資料として厚生労働省の雇用安定助成金ガイドブック 簡易版を↓にアップロードしました。必ずお読みください。記入例もガイドブックの終盤に書いています。
随時更新されていますので、最新版の有無を以下のURLでご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
一番大事な趣旨を紹介します。赤字について詳細を解説します。
雇用調整助成金とは、
①景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により
②急激な事業活動の縮小 を余儀なくされた場合等における失業の予防その他雇用の安定を図るため、その
③雇用する労働者について
④労使協定に基づく休業若しくは教育訓練(以下「休業等」という。)又は出向により
⑤雇用調整を行う事業主に対して助成及び援助を行うもの
です。この文章が雇用調整助成金の一番重要な文章です。
①景気の変動云々について・・・今回のケースはコロナウィルス感染拡大に端を発しているケースですね→大多数がクリア
②急激な事業活動の縮小云々について・・・生産指標要件と呼ばれています。売上に変化がなければ、休業させる必要がありませんから、雇用調整助成金は出ません。・・・通常は前年同期10%減ですが、特例で4/1~6/30の休業について、前年同期5%減になっていればクリア
・必要なもの・・・売上が下がっていることを証明する書類(月次損益計算書や総勘定元帳、会計システムから打ち出した帳票など)
③雇用する労働者について・・・結構重要です。社長自身や会社役員、事業主と同居の親族は労働者ではありませんので、たとえ休業手当相当額を払ったとしても助成金はでません。・・・通常は雇用保険被保険者のみの休業が対象ですが、特例で雇用保険被保険者以外の休業も対象です(被保険者以外の休業は緊急雇用安定助成金による助成対象ですが申請窓口・財源・所管省庁等が共通しているので一緒くたに解説します)
・必要なもの・・・労働者名簿、雇用保険被保険者台帳(ハローワークへ交付申請)、役員名簿など
④労使協定に基づく云々について・・・本来であれば、(1)休業前に労使協定を締結→(2)計画届に労使協定を添付→(3)ハローワークへ計画届を提出して休業→(4)支給申請という流れですが、特例措置により休業後の計画届提出が認められています。
休業の対象者、休業手当の率や計算方法は休業協定書に定めます。協定というのは36協定等と同様に会社と労働者代表との間で締結するものです。
・必要なもの・・・休業協定書・労働者代表選任届・委任状(特例により実績一覧表の記名押印又は署名があれば省略可ですが、あった方が良い)
⑤雇用調整を行う事業主云々・・・休業手当の支払いや、教育訓練、出向等の措置を行ったこと。休業手当は所定労働日に対して支払います。
注:休業手当の額は労基法で定める平均賃金の60%以上である必要があります。
・必要なもの・・・出勤簿・賃金台帳・雇用契約書・就業規則・年間シフト表等々、これらは所定休日、実労働日数、休業手当の支払いの有無などを確認するための資料です
行政機関所定様式の支給申請書類は以下のリンク先をご確認ください。
様式は随時変更される場合があります。
以下の点にご注意ください
・休業が4月1日をまたぐ場合→別様式をご使用ください
・雇用保険被保険者の休業→雇用調整助成金の様式
・雇用保険被保険者以外の休業→中小企業緊急雇用安定助成金の様式を使用ください
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html
事前に準備しておく書類
書類名 | 備考 |
労働保険年度更新申告書(2018年度/2019年度/2020年度) | 雇用保険被保険者人数及び賃金総額を確認するための書類 |
雇用保険適用事業所設置届等 | 雇用保険適用事業所番号を確認するための書類 |
労働者名簿・役員名簿 |
法定帳簿 労働者名簿テンプレはこちら 役員名簿テンプレはこちら |
雇用保険被保険者台帳 |
ハローワークで交付申請 |
就業規則・雇用契約書・年間シフト表 | 所定労働日数や所定休日の確認に必要です |
就業規則・賃金規程・賃金台帳・出勤簿・給与明細等 | 休業手当の実績や、賃金の構成、休業協定書との整合性を見るために必要です |
総勘定元帳、月次決算書、売上簿、会計システムで打ち出せる帳票等(2019/2020) | 売上の減少がわかる書類 |
委任状(労働者個人→労働者代表に対する) | 委任状テンプレはこちら |
労働者代表選任届 | 労働者代表選任届テンプレはこちら |
休業協定書 |
重要!!休業期間・休業対象者・休業手当の率などを定めます 休業協定書テンプレはこちら |
計画届出時
番号 | 書類名 | 備考 | 提出有無 |
1 | 様式第1号(1) 休業等実施計画(変更)届 | 判定基礎期間(≒賃金計算期間)ごとに1枚 記載例はこちら | 〇 |
2 | 新様式特第4号 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書 | 添付書類必要 記載例はこちら | 〇 |
2-A | 添付書類 総勘定元帳等売上がわかる書類 | 売上を証明するために必要、会計システムの帳簿等でも可 | 〇 |
3 | 休業協定書 | 添付書類必要 休業協定書のひな型はリーフレットP.17を参考に | 〇 |
3-A |
労働組合あり→組合員名簿 労働組合なし→労働者代表選任書 |
休業協定書が真の労働者代表と締結されたものであることを証明※実績一覧表に記名押印又は署名があれば省略可だが、あったほうが良い | △ |
3-B | 委任状 | 労働者から労働者代表に対する委任状※記録のため、あった方がよい | △ |
4 | 労働者名簿、役員名簿 | 企業規模を確認するための書類 | 〇 |
支給申請時
番号 | 書類名 | 備考 | 提出有無 |
1 | 新様式特第6号 支給要件確認申立書 | 記載例はこちら | 〇 |
2 | 新様式特第7、8号 支給申請書(休業等)、助成額算定書 | 〇 | |
2-A | 前年度(休業が令和2年4月1日~であれば平成31年4月~令和2年3月まで)の賃金総額がわかる書類※年度更新申告書 | × | |
3 | 新様式特第9号 休業・教育訓練実績一覧表 | 〇 | |
4 | 出勤簿・タイムカード・シフト表、就業規則・雇用契約書・労働条件通知書など | 〇 | |
5 | 賃金台帳・給与明細・賃金規程・労働条件通知書など | 〇 | |
6 | 支払い方法・受取人住所届/通帳の写し | 助成金の受け取りに必要 | 〇 |
休業手当の額は平均賃金の60%以上である必要があります。
平均賃金の計算は働き方によって2通りあります。
①月給制社員の場合
休業前3か月間の賃金総額(諸手当含む)÷休業前3か月の暦日数(90~92)=平均賃金
②日給や時給で働く方の場合
下記の(1)か(2)のいずれか高い額
(1)休業前3か月間の賃金総額(諸手当含む)÷休業前3か月の暦日数(90~92)
(2)休業前3か月間の賃金総額(諸手当含む)÷休業前3か月の実労働日数×60%
週の所定労働日数が少ないパートタイマーは(2)の方が多くなります。
休業手当は平均賃金の60%×休業日数です。
時給制・日給制の方の平均賃金は一般人感覚の平均賃金と異なる場合があります。
例① 月給制フルタイム社員Aさんの場合
賃金額→下の表
休業期間→4/1~6/30
所定労働日→平日
所定休日→土日祝日
項目 | 1月 | 2月 | 3月 |
基本給 | 200,000 | 200,000 | 200,000 |
通勤手当 | 15,000 | 15,000 | 15,000 |
職務手当 | 30,000 | 30,000 | 30,000 |
時間外労働手当 | 0 | 45,000 | 60,000 |
総支給 | 245,000 | 290,000 | 305,000 |
Aさんの場合以下の手順で計算します
①平均賃金の算定
245000+290000+305000=840000
840000÷(31+29+31)=9230円76銭
②休業手当の算定
9230.76×60%×61日(4~6月の所定労働日数)=563,076円
例② パートタイマーBさんの場合
賃金額→下の表
休業期間→4/1~6/30
所定労働日→毎週 月・火・水※祝日含む
所定休日→所定労働日以外の日
項目 | 1月 | 2月 | 3月 |
労働日数 | 13日 | 12日 | 14日 |
労働時間数 | 104h | 90h | 108h |
時給 | 1100 | 1100 | 1100 |
基本時給 | 114400 | 99000 | 118800 |
通勤手当 | 2600 | 2400 | 2800 |
総支給 | 117000 | 101400 | 121600 |
Bさんの場合以下の手順で計算します。
①平均賃金の算定※(1)と(2)を比較。高い方の平均賃金を採用。
(1)117000+101400+121600=340000
340000÷91=3736円26銭
(2)117000+101400+121600=340000
340000÷39(13日+12日+14日)×60%=5230円76銭
②休業手当の算定
5230.76×60%×39(4~6月の所定労働日数)=122,399円
上記の計算は、あくまでも試算です。休業手当は労働者の生活保障であるため、1か月に1回は支払いが必要です。
ここで、一つ雇用調整助成金&中小企業緊急雇用安定助成金の助成金額についてご案内です。
緊急雇用安定助成金→雇用保険被保険者以外の休業に対する助成金は実際に支払った休業手当に助成率(企業区分、解雇の有無に応じ66%~90%)を乗じて求めるので、必ず以下の不等式が成り立ちます。
助成金額<休業手当の額
しかしながら、雇用調整助成金の助成金額は、リーフレットにあるように
【実際は、前年度1年間における雇用保険料の算定基礎となる賃金総額を、前年度1年間における1か月平均の雇用保険被保険者数及び年間所定労働日数で割った額に、休業手当の支払い率をかけて算出します。】とあるように必ずしも現実に支払った休業手当の額を基準しているわけではありません。そのため、特定のケースですが以下の不等式が成り立つ場合があります。
助成金額>休業手当の額
今回は、雇用調整助成金について概要を説明しました。事業の継続、雇用の安定の一助になれば幸いです。
現在、多数のお客様からお問合せを頂いておりますが、当事務所では顧問先を最優先で対応しており、ご依頼をお断りするケースが多くなっています。ご依頼を検討される場合は最低限、相談顧問契約(人数規模に応じ月額10,000円~)のご検討をお願いいたします。
また、申し訳ございませんが、『いくらもらえるのか?それだけ知りたい!』と仰る方もいらっしゃいますが、休業協定書に休業手当の率を定め、昨年度の雇用保険被保険者に対する賃金総額を雇用保険被保険者数で除して、休業手当の率を乗じる計算を行うためシミュレーションに稼働がかかります。そのため、具体的な助成金額については、依頼業務遂行の中で判明することであり、依頼するしないの前段階でお答えすることはできません。
顧問契約締結前提ですが、雇用調整助成金の申請手続きに関する報酬を掲載いたします。※金額及び率の記載はすべて税抜きです
報酬名目 | 報酬額 | 備考 |
相談顧問報酬 | 10,000円~(人数規模により変動) | 月額(1年以上の有期契約・自動更新条項付き) |
雇用調整助成金申請代行業務受託着手金 | 10,000円 |
着手金は以下の性質を帯びます 1・解約手付(委託者からの解約→着手金放棄、受託者からの解約→着手金返還。但し受託業務履行の着手前に限る) 2・違約手付(委託者に債務不履行→着手金放棄、受託者の債務不履行→着手金返還) 3・証約手付 |
雇用調整助成金申請代行業務手数料 |
最低6万円~ ※受給金額によって異なります。 |
助成金受給額によって変動 受給額 ・40万円未満→60,000円 ・40万円以上100万円未満→(40万円を超えた額×18%)+60,000円 ・100万円以上300万円未満→(100万円を超えた額×15%)+120,000円 ・300万円以上→(300万円を超えた額×12%)+270,000円
|
④【規程類・提案書類の作成・打合せ】
・ご依頼後、ご入金確認後に、規程類等の作成事務を行います。
・時期や案件にもよりますが、時間がかかる場合があります。
⑤【説明会や研修の実施】
・日程の候補につきましては複数日お願いいたします
・顧問先以外でも軽微な問合せ等であれば、導入後も多少のフォローは可能です
※記載内容に誤りがある場合でもいかなる責任を負いません。
※記載内容の無断複製・転載を禁止いたします。
ワイエス行政書士・社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士
行政書士
佐藤 安弘
『皆様にとって、身近にあって、頼れる存在。そして少し愉快な社会保険労務士・行政書士であろうと思います。お気軽にご相談ください。』
ご連絡は下記フォームからお願いいたします!