残業時間の上限規制

簡単にまとめてみました!

規制の概要

残業(時間外労働)の上限を

・月45時間、年360時間を原則とし、

・臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働 含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)

と設定されます!

 

また、月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率が25%→50%以上になります!

※現行の大企業の水準

今まで

・月45時間、年360時間の原則 →変わらずにありました。※但し、法律による規制ではなく、行政の基準による規制。

・臨時的な特別な事情がある場合→この場合が青天井で、問題が起きています。(いわゆる特別条項付36協定ですね)

                月に200時間の残業も、安全配慮義務違反ではあっても、労基法上は違法ではなかったのですね 

何を目的とした規制か

超長時間労働については、全国各地で悲しい事件が起きています。

 

ずばり、この法改正の目的は過労死の撲滅です。

 

先ほども述べたように、今まで特別条項さえ盛込めば200時間でも300時間でも残業させることが出来ていたことが異常といえます。

いわゆる過労死ラインですが、

・脳血管疾患や虚血性心疾患については3か月平均80時間・単月100時間

・うつ病等精神疾患については3週間で120時間 1か月160時間

が労災認定の基準とされています。

対象となる事業主と、施行時期

大企業 →2019年4月1日施行

中小企業→2020年4月1日施行

猶予対象及び適用除外

・自動車運転業務

・建設事業

・医師等

猶予期間を設けた上で規制を適用等の例外あり。

 

・研究開発業務

医師の面接指導を設けた上で、適用除外。

規制の背景(主観込み)

過労死のことを英語でkaroshiと言います。世界に過労死概念はないとも言えますね。

そのくらい、日本人は働きすぎということでしょうか。

 

時折、年配の方のインタビューなどで『自分たちが若いころはもっと長時間働いていた!若いもんはなっとらん!』という方がいますが、これは労働の本質が見えていないだけですね。

同じ長時間労働でも業務の内容によって心身への影響は異なります。

主な要素として以下が挙げられます。

 

・情報通信技術の発展による携帯電話やメールの登場

 →昔はありませんでしたね。

・顧客からの要望を受け、労働者に即応性が求められるようになった

 →顧客からの要望そのものが業務時間中に、電話又はFAXでしたね。納期も相応の日数が考慮されていましたね。

・移動中でも絶えず、使用者の指揮監督下におかれることのストレス

 →以前は、外回り営業中にサボっていてもばれませんでしたね。

・業務そのものも、必然的にミスが許されない高度な成果が要求されることとなっている

 →SNSなどで炎上・ちょっとしたミスが甚大な損害に

・日本型雇用(終身雇用・年功序列・新卒一括採用)の下では、『退職したいが、転職しづらい、レールから外れるのが怖い』

 →社会構造のしくみ

・過剰なサービス意識

 →『お客様は神様です』の誤解。モンスタークレーマー等の登場。

 

こういった背景の中で、働き盛りの世代は、人手不足を理由に長時間労働に晒されています。

現代の長時間労働と以前の長時間労働ではストレスという点で、比較にならないことはわかっていただけると思います。

 

過労死については、昨今で悲しいニュースが取りざたされており、いよいよ国が本腰を入れて対策することとなりました。

そもそも残業って、原則として違法!?

一般的な残業の定義

【残業:所定の終業時刻を超えて業務をさせること】

でしょうか。

 

これでは、所定労働時間の長短が会社によって様々ですので、

このページ上では

【残業:1日8時間 1週40時間を超えて業務をさせること】

とします。

 

まず、違法の根拠から

労働基準法

第32条 使用者は労働者に、休憩時間を除き一週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

  2項 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について8時間を超えて、労働させてはならない。

と、あります。

他にも変形労働時間制などの規定(32条の2~5)がありますが、原則はこれです。

 

これを守らないと、労働基準法119条の規定により6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

 

では、なぜ世間ではこうも残業が許容されているのでしょうか?

A.36協定を締結して、残業が36協定の限度時間以内であれば、違法とはなりません。

 

この36協定を以下で解説します。

労働基準法

第36条 1項 

使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。

 

『残業は原則違法だよ!→『でも、協定を締結して監督署へ届出れば罰は与えないよ!』(刑事免責)

このことを『36協定の免罰効果(免罰的効力)』と呼びます。

※Q.36協定を結べば残業代払わなくても良いの?

→A.ダメです。割増賃金の支払いと36協定の締結は別問題です。

 

今までは、この36協定に関して限度基準はあったものの、特別条項という抜け道があったのです。

つまり、特別条項付きの36協定を締結し、届出れば、ある月は160時間+残業200時間としていても協定の範囲内なので、遺族や本人に対して民事上の安全配慮義務は負っても、刑事上の罪には問えなかったのです。

 

ニュースでよく聞く『違法な時間外労働』というものは、

・36協定未締結で1日8h・1週40h超の労働

・36協定締結後、監督署へ未届で1日8h・1週40h超の労働

・36協定に定めた時間以上の時間外労働

 

というパターンです。

 

 

まとめ

今回の改正は、今までの抜け道を塞ぐ改正です。

時代の変遷とともに、社会的な要請で飲酒運転が厳罰化されたように、時間外労働に関しても曖昧なまま放置される時代ではなくなったということでしょう。


事業主の課題

✅長時間労働抑制のヒケツは人員の増員・業務量削減・生産性向上のいずれか!

✅業務の細分化・見える化への取組!

✅『残業減らせ!』という命令では、サービス残業が増えるだけ!

✅従業員を辞めさせない労務管理!

✅求人応募が集まりやすい、魅力的な企業へ改革実行!

 

法改正をバネにして事業の大躍進も期待できる!

当事務所へのご依頼

【コンサルティングフロー概要】

①事業の内容や就業規則、時間外労働の実態などを調査・ヒアリングします。

※必要に応じて、タイムカード、賃金台帳、36協定なども拝見します。

 

②事業利益を主軸に、小さな取組から大きな取組まで残業削減に役立つ方法を提案いたします。

 

③制度の運用に問題がないか、専門家によるアフターフォローの実施※原則として、顧問先限定

 

【費用について】

①・・・・・稼働時間に応じた費用(5,400円/時間)

②・・・・・別途お見積りとなります。

③・・・・・無料※顧問先に限る

 

申し訳ありませんが、顧問先事業所を優先とさせていただきますので、お問合せ頂いた場合でも、スケジュールの都合で、ご希望に添いかねる場合がございます。