労働基準法第1条~第5条について

労働基準法を条文順に解説します!

ご覧いただき、ありがとうございます。行政書士・特定社会保険労務士の佐藤 安弘です。

 

このシリーズでは労働基準法に関して、条文順に記事を掲載いたします。細かい知識ではなくざっくりとしたご案内となりますのでご容赦ください。

今回の記事・動画でわかること

 

☑労働基準法の第1条~第5条の概要がわかる!

労働基準法第1条 条文&解説

早速ですが、条文です

 

第一条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

 2項 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

 

この条文は具体的な義務や権利を規定したものではありません。目的条文や訓示規定といわれています。

第2項の労働条件という言葉は、賃金、労働時間、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における一切の待遇をいう。

 

雑談ですが、労働法を語ろうとした場合に、労働基準法は、近代史における奴隷制度からの脱却を主たる立法目的であることを念頭に置きます。法による規制がない時代は休日や休憩がなかったり、雀の涙ほどの賃金等、劣悪な環境で従事していた犠牲者はいたのです。

 

労働基準法第2条 条文&解説

続いて労基法第2条の条文です

第二条 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。

 

 2項 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

 

この条文も第1条と同じく訓示規定です。わざわざ対等の立場と謳っている理由は資本主義社会において資本家のほうが力を持っているからですね。

 

第2項についての解説です。労働協約、就業規則、労働契約とは一体何でしょうか?

・労働協約→会社と労働組合間の約束事。約束事の効力は原則として労働組合員である労働者に及ぶ(=労働組合員ではない労働者には労働協約の効力は及ばない)。

・就業規則→集団的規律を目的とした、会社の労働者に適用されるルールブック。常時10人以上の労働者を使用する事業場において作成・周知・監督署への届出義務あり(労基法89条)。作成や変更に当たっては過半数労働組合又は全労働者の過半数代表者の意見を聞く必要があります。※同意ではありません※労基法上は就業規則は会社側が一方的に変更できますが、不利益な変更である場合には労働契約法第9条の規制を受けます

・労働契約→労働者と会社との個別の契約です。

 

【上記3つの規定の力関係】

個別労働契約が労働協約と相違する場合は、労働協約に違反する部分は無効となります(労組法第16条)。

個別労働契約が就業規則を上回る場合、個別労働契約が優先します。個別労働契約が就業規則の基準に達しない(下回る)場合、就業規則が優先します(労契法第12条)。

就業規則の内容は、労働協約に反してはなりません(労基法第92条)。

労働基準法第3条 条文&解説

続いて第3条の条文です

 

第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。

 

これは均等待遇規定です。

ポイントとして重要なことは2つです

①国籍、信条、社会的身分、この3つの理由で差を設けることを禁止する趣旨です。※能力や学歴、職歴などを理由に差を設けても労基法3条には触れません。

②『差別的取扱いとは何か?』を掘り下げます。差別的取扱いとは『合理的な理由のない、通常とは異なる不利益な取扱い』をすることです。

合理的や不合理といった言葉の違いに気を付けてください。詳細についてはこちらをご覧ください。

労基法第4条 条文&解説

続いて第4条

 

第四条 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

 

先ほどの第3条と似ていますが、この条文のポイントは

①女性であることを理由に

②賃金についての差別的取扱い

を禁止しています。

 

ここで、一つ疑問があります。

では、

Q.女性であることを理由に昇進や労働時間等の差を設けることは許されるのでしょうか?

A.労基法上は許されてしまいますが、男女雇用機会均等法によって禁止されています!!

 

労基法第5条 条文&解説

最後は第5条です。

 

 

第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
解説:最近は本規定が適用された例などは聞きませんが、戦時下や戦後間もない時期はこの規定により、有罪判決を受けた事例もあるようです。なお、罰則は労働基準法上最も重く、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金となっています。

まとめ

☑労基法のことが少しわかった!

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