在留資格ごとの就労可否一覧

行政書士が在留資格ごとの就労可否について解説します!

はじめに

今回はたくさんある在留資格について、就労の可否に着眼して記事を執筆します。

 

前提となる知識として、別の記事(在留資格の概要)もご参照ください。

在留資格の大分類

まず、在留資格は活動類型資格と地位等類型資格に大きく分類されます。

表1-1 在留資格大分類

在留資格
活動類型資格 地位等類型資格

活動類型資格を一言でいうと

 

『あなたは日本に何をしに来ましたか?※YOUは何しにニッポンへ?』という質問に対して・・・・・

 

『○○をしに来ました!』という風な答えによって在留資格が決定されます。○○の部分が活動内容となるわけですね。

 

地位等類型資格については

 

『あなたは日本に何をしに来ましたか?※YOUは何しにニッポンへ?』という質問に対して・・・・・

 

『私は日本人の夫(妻)を持つ配偶者です。特段これといった活動は予定していません』という風な答えが返ってきます。

この方の場合は『日本人の配偶者』であることが、日本に滞在する資格ですので、どのような活動をするかについては問われません。

よって地位等類型資格を保有している方の活動は自由(=無制限就労可能。就労に何らの制限を受けません)となります。

地位等類型資格(無制限就労可能資格)一覧

表2 地位等類型資格(無制限就労可能資格)一覧

地位等類型資格(無制限就労可能資格)
どんな人? 在留資格名
法務大臣が日本での永住を認めた者 永住者

日本人の配偶者(夫又は妻)

日本人の特別養子

日本人の子として出生した者

日本人の配偶者等

永住者又は特別永住者の配偶者(夫又は妻)

永住者又は特別永住者の子として日本で出生しその後引続き日本に在留する者

永住者の配偶者等

法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者

定住者

在留カードを確認した際に、上記の在留資格を保有する方々については、ほぼ日本人と同様の取扱いで問題ありません。

 

但し、いわゆるパートナービザ(『日本人の配偶者』や『永住者の配偶者』)の方について、もし離婚等(死別含む)になった場合において、6か月以上経過した場合には、在留資格取消の対象となります。そうなってしまうと、外国人本人については不法残留、会社にとっては不法就労助長罪が成立し得ますので、ご注意ください。

 

対応策・予防策として就業規則や雇用契約にパートナービザ保有者に対して、パートナーとの関係解消や、パートナーの死別を報告させるような文言を明記したほうが良いかもしれません。但し、この場合、従業員のプライバシーに干渉することになりますので、合理的な理由による最低限の報告にとどめるような限定的な規定を心がけるべきでしょう。

 

日本人の文化としては、社員の離婚や死別について、信頼関係に基づき会社に報告することが一般的かもしれませんが、就業規則に明記することで就業規則を根拠に報告を求める体制作りもこれから必要となるかもしれませんね。

活動類型資格の中分類

次に、活動類型資格について見てみましょう。

 

活動類型資格は

 

『あなたは日本に何をしに来ましたか?※YOUは何しにニッポンへ?』という質問に対して・・・・・

 

『○○をしに来ました!』という答えによって在留資格が決定される資格の事ですね。

 

例として、○○の部分が・・・・

観光→在留資格『短期滞在』

留学→在留資格『留学』

モデルとしての活動→在留資格『興行』

医師としての活動→在留資格『医療』

技能実習→在留資格『技能実習』

となります。

 

また、一般の企業に勤める外国人の方の多くは在留資格『技術・人文知識・国際業務(略して技人国)』が付与されています。技人国についての詳細はまたの機会に記事にする予定です。

 

活動類型資格は業務限定就労可能資格と就労不能資格に分類されます。

表1-2 活動類型資格の中分類

在留資格
大分類 活動類型資格 地位等類型資格
中分類(就労可否) 業務限定就労可能資格 就労不能資格 無制限就労可能資格

業務限定就労可能資格と就労不能資格

たとえば先ほどの

 

『あなたは日本に何をしに来ましたか?※YOUは何しにニッポンへ?』という質問に対して・・・・・

 

『タレントとしての活動をしに来ました!』という答えをした方が『興行ビザ』を付与されてタレントとして活動する分には何ら問題ないのはわかりますね。

 

しかし、実態がタレント活動ではなく、建設作業員であった場合には『タレント業務のみ可能な興行ビザを持って滞在する方が建設作業によって報酬を得る』。これは問題がありますね。業務限定の枠をはみ出しています。この場合、資格外活動罪が成立し得ます。

 

ただ、ここで注意をしなくてはいけないのは資格外活動とは『業務限定就労可能な在留資格を有する外国人が、資格外活動許可を得ずに、その範囲を超えて報酬を得る活動をすること』『就労不能資格を有する外国人が資格外活動許可を得ずに報酬を得る活動をすること』です。

従って、極端な例ですが在留資格『医療』で働く医師が夜間に大学に通ってスキルアップする分には、『夜間に大学に通ってスキルアップ』という活動には、報酬を得ることは含まれていませんので資格外活動ではありません。

 

在留資格の名称にこだわってしまうと『その名称以外の活動はできない』という認識に陥りがちになりますが、これは大きな誤解です。

『その在留資格の名称で予定されている業務以外の報酬を得る活動は原則としてできない』ぐらいの認識でよいと思います。

 

たくさんある在留資格の詳細をこのページに書くことは困難なので、ひとまず表にしてみます。

表1-3 業務限定就労可能資格と就労不能資格の分類

在留資格
大分類 活動類型資格 地位等類型資格
中分類(就労可否) 業務限定就労可能資格 就労不能資格 無制限就労可能資格
在留資格名 高度専門職1号・2号 留学 永住者
経営・管理 研修 定住者
法律・会計業務 家族滞在 日本人の配偶者等
医療 文化活動 永住者の配偶者等
研究 短期滞在 特別永住者
教育 特定活動の一部  
技術・人文知識・国際業務  
企業内転勤
介護
興行
技能
技能実習1号・2号・3号
特定技能1号・2号
外交
公用
教授
芸術
宗教
報道
特定活動の一部

就労不能資格で働くための資格外活動許可という枠組み

上記の表で就労不能資格とされている在留資格を持つ外国人は働くことはできないのでしょうか?

 

実は、これが一切禁止というわけではないのです。

 

先ほどの文章『就労不能資格を有する外国人が資格外活動許可を得ずに報酬を得る活動をすること』について説明します。

 

資格外活動とは『許可された在留資格に応じた活動以外に,収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動』のことを言います。

 

この資格外活動は原則として禁止ですが、申請して許可を受ければ1週間28時間の就労(学生で学校が夏休みの場合には1日8時間1週40時間)が可能です。

 

この資格外活動許可については業務や職種の制限はほぼありません。

唯一禁止されている業種は風俗営業に該当する業種です。

風俗営業というと夜の店が代表的ですが、パチンコ店やゲームセンター、雀荘も風俗業種ですし、ラブホテルの清掃業務も含まれます。

在留資格別就労可能業種の例示

一例です。✖️がついていても必ず不可というわけではありません。
在留資格
 業種  地位等類型資格

業務限定就労可能資格

()書きは想定される在留資格

就労不能資格

(資格外活動許可あり・週当たり労働時間に制限あり)

コンビニエンスストア(現場) △(特定活動46号・2019.5~)
飲食店(現場) ○(特定技能・技能)
企業での事務職・販売職 ○(技人国)
通訳業務 ○(技人国)
Webデザイン ○(技人国)
マネジメント系業務 ○(技人国)
管理部門系業務 ○(技人国・経営管理・高度専門職)
風俗業種へ従事 × ×
介護 ○(技人国・介護・特定活動)
製造業(現場) ○(特定技能・技能実習)
建設業(現場) ○(特定技能・技能実習)

外国人雇用のこれから

日本の労働市場は、現在、完全に解放されているわけではありません。

 

外国人を就労させようとした場合に在留資格等、入管法上の規制があります。

 

意図せず働かせてしまえば、不法就労や不法就労助長罪に問われるリスクは依然として存在します。

 

今年の3月までは原則として外国人材の単純労働は禁止されていました。

 

その為、開放されていた労働市場は飽くまでも限定的なもので、比較的高度な職種、外国人であることの強み・必要性が活かせる職業に限定され、開放されていました。

 

なお、下記の事例などは現在でも不適切な事例とされています。

  • 例1:技人国の在留資格で飲食店のホール業務に従事
  • 例2:経営管理の在留資格で建設現場作業

 

 

しかしながら、2019年4月の入管法改正施行に伴い、人手不足が深刻な建設・介護・外食・宿泊等の14業種については以下の条件を満たしたうえで、特定技能の在留資格での就労を検討することができるようになりました。

 

【外国人本人についての要件】

一定程度の日本語能力(N4)+分野別技能試験合格

 

【受入れ企業についての要件(例)】

・労働法・租税法・社会保険法令の遵守

・悪質なブローカーの排除

・日本人と同等額以上の賃金水準

・外国人に対する支援体制の整備

etc.

※特定技能制度に関する詳細は後日執筆予定です。

 

人口減少真っ只中の日本においては、おそらく、今後、数次の改正を経て拡大する方針と筆者は予想します。

 

主観ですが、将来の労働力不足を補うために

・税制上・社会保険上の扶養制度見直し

・老齢年金の支給開始年齢繰り下げにともなう定年延長措置の実施

・外国人雇用の段階的緩和

 

上記に関する日本国内の議論は並行するものと思われます。

 

それほどまでに、労働力不足は深刻なのです。

まとめ

☑外国人を雇用するうえで在留資格制度は重要!

☑在留資格に基づく適正な業務付与が課題!

☑特定技能の受け入れも適正な労務管理が課題!

ご提案メニュー

商品・サービス名(外国人雇用関連) 金額(税抜)
顧問先 顧問先以外
就業規則の見直し・外国人雇用規程の新規作成 50,000円~/回 150,000円~/回
上記にかかる従業員説明会(労基法89条に基づく周知義務の履行) 50,000円~/回 150,000円~/回
外国人雇用の履行補助・相談 原則として無料 提供しておりません

特定技能外国人受け入れのための準備・支援・監査

(1号特定技能外国人支援計画の作成・届出含む)

応相談 応相談
外国人従業員の在留資格更新・変更許可申請代行 原則として無料・但し顧問料金に応じ1年間の無料申請回数上限あり 100,000円~/回

当事務所へご依頼する際の一般的な流れ

 

①【お問合せ・面談日予約】

・電話または問合せフォームにて、依頼内容等をお聞かせください。

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②【面談】

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又は、

・ご指定の場所で打合せ(遠方の場合は旅費・交通費を請求いたします)

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・契約書に署名・押印

・着手金のお支払

現金払い・口座振り込み・各種クレジットカード・電子マネー決済等の対応可能です。ただし、一部対応できない場合があります。

 

【規程類・提案書類の作成・打合せ】

・ご依頼後、ご入金確認後に、規程類等の作成事務を行います。

・時期や案件にもよりますが、時間がかかる場合があります。

 【受託業務完了のご報告】

・残金があれば、残金のお支払いをお願いいたします

・顧問先以外でも軽微な問合せ等であれば、多少のフォローは可能です